希望とかやさしさ

 外作業をしていると、近くで小学生の女の子が二人で話をしている声が聞こえる。

 何事だろうと振り返ってみると、驚いたように二人は後ずさりしてしまった。

 と思ったらそれがキッカケになったのか、女の子二人は意を決したように「すいませ~ん」と私を呼んでいる。

 

 「なにかありました?」

 「これ落ちてました」

 

 一人の女の子が傷んだ赤い羽根を私に渡してくる。募金したら付けてもらえる例の羽根だ。

 おそらく、どこの誰かが分からない人が付けていたものが勝手に道端に落ちて行ったものだろう。そしてそれを拾った下校途中の女の子が放っておけずに悩んだ末に、たまたま近くにいた作業着を着た私に託そうとしてきたのだろう。そういった心情把握を二秒くらいで瞬時に感じた。

 

 「では預かっておきますね」

 「ありがとうございます」

 「うん、わざわざありがとう」

 

 二人は元気に帰っていった。

 

 子供の頃、道端に落ちているものはすべて持ち主が存在して、そしてその持ち主は物を落としてしまって困っているのだろうと思っていた。それが歳を取るにつれ、道端に落ちているものなどどうにもならない物で、どうでもいい物なのだろうと無関心になっていった。

 私は傷んだ赤い羽根を手に取ってみてみた。これはただの赤い羽根ではない、純粋な子供のやさしさが詰まっているもののように思えた。

 私に足りないものが急に運ばれてきたような気がして、妙にうれしかった。