コラム「重大な十代における若いきれいな女性恐怖症」

 十代の頃、まるでモテなかった。青春というものがなかったと思う。

 中学三年の頃、いつものように休み時間に話す相手もいないので、両肘を曲げて顔を机に突っ伏して寝るマネをしていた。人と接さずに時間を消費しているのである。そうしているととある女子が私の机の左横を横切る際に、お尻を私の左ひじに接触させて通過したのである。私は左ひじで女子のお尻の感触を味わったのである。女子は何事もなく通過したのであるが、私は相変わらず突っ伏しながらもひどく興奮した思い出がある。私の青春とはたったその程度のことである。

 書いていて情けなくなってきた。

 高校に入っても人と付き合うという発想は一片もなかった。高校2年のクラスで生物を選択したのは男子では私だけであった。よって私以外の十数人は全員女子であった。

 女子たちは生物の教師と和気あいあいとしている。私は独り静かに教室の隅で大して興味もない生物の勉強をしている。テスト前になると授業を取りやめて自習時間になることがあるが、教師が出て行ったことを見計らって女子たちはジャニーズの話やどこかのクラスの好きな男子の話を永延としている。教室の隅で地蔵のようにまるで私の存在は遮断されている。私以外は女子だけ、四面楚歌、誰とも話すことはできない。怖いのだ、女子は何を考えているのか。そもそも女が男に欲情するメカニズムがまるで分からず、それでいてモテない男にはひどく厳しいイメージがあり、私には女子たちに対して恐怖心と反発心が入り混じっているだけであり、何を発することもできなかった。

 そんなこんなで中学の時は「まあ高校受験に合格すれば何とかなるだろう」と思っていたが、いざ合格して高校に通いだすと中学以上に人と接する機会を減らしてしまい、「まあ高校を卒業すればなんとかなるだろう」という発想に転換しただけであった。

 そんな回避思考なので、部活も入らず学校から帰ってきてヤフーの画像検索でグラビアアイドルや厭らしい画像を視てオナニーをしているだけで時間が過ぎていった。 

 高校を卒業し、大学に入り18歳で初めて独り暮らしをしたが、結果的に女性を連れ込むことはできなかった。

 夏場は無駄にムラムラしてしまい、蒸し暑いアパートの一室で女性とデートをする妄想ばかりしていた。精神的におかしくなっていたのか、深夜に同じアパートに住んでいる女の自転車のペダルに頬をすりすりしてしまった。バレていたらどうなっていたか分からない…。そんなわけで法的に問題ないズリネタを買い求めることにし、ロリコン本をネットのセブンイレブンで注文したのであるが、セブンイレブンバイトのリア充学生からロリコン本の入った段ボールを受け取るときの惨めさったらなかった。

 大学では女は多かったがほとんど接しなかった。「セックスをしたい」という欲求よりも「デートをしたい」「人と話したい」「人並になりたい」と思い、とりあえず大学では期待できないので、人間社会に慣れるためにアルバイトをすることにした。人と接することが嫌いなので新聞配達や今は亡きグッド〇ィルの単発バイトをした。

 アルバイトをした結果、力仕事が向いていないことに気付いた。

 勉強して事務的な仕事に就かなくては将来的に苦しいことになると思ったが、まるで白痴のような頭脳で勉強がはかどらず、意味もなく中央線のオレンジの電車に乗っては下りて歩いて、アパートに戻って虚室でオナニーばかりして女体も知らずに十代が終わっていった。