ライブ観賞後の憂うつ(昨晩の話)

5人と握手をし、ライブハウスを後にすると、例によって空虚さが心を支配しだした。
幻想の世界から夜の田舎の繁華街に投げ出されると、私にはもはやこの日は何もすることが思い浮かばなかった。
仲間同士で呑むわけでも、醜女とデートするわけでもなく、ただ帰路に向けて歩き出すしかなかった。
ただ歩く。けれどもしばらくすると前方に道を塞ぐように緩慢に歩くカップルを見つける。これだけで気分が鬱ぐのである。
歩行速度から比較すると、およそ1分ほどで私は前方のカップルを抜かなくてはならない。

厭だ。


私は道路を横断し、反対側の歩道へと移動した。
いったいに私はいつからか人をできるだけ避ける傾向にある。
Juice=Juiceのライブでは満員電車に近い状態でヲタと密着二時間をやりおおし、終演後の握手会を終えると途端に虚しくなった。
握手をしようが、決して手の届かない存在であることに変わりはない。
終演後、オタクが突如氾濫したスクランブル交差点の手前では、停車するタクシー内に分厚い化粧をした水商売の婆とおっさん客がほろ酔い状態で愉しそうだ。

私は夜道をひたすらに歩きながら、人間が苦手で、三十路童貞で、趣味にも没頭できない性質を思いながら、呻吟せざるを得なかった。
いっそケダモノと呼ばれても世間から無理解と思われる行動をしたい欲求に駆られながらも、そんな欲求もライブと歩行の疲れによって時間と共に薄らいでいくだけである。そうして、ただ一日が終わる。